子育て中の今だから、暮らしと政治を語れる場を作る。

かたって、つないで

 平成30年度(2018〜19年)にあすばるが実施した「女性による元気な地域づくり応援講座事業(通称・元気塾)」で、太宰府元気塾「心地よい暮らしづくり“楽”校」を開講。団体名「すきsuki♥おはなし会」として、若い世代や子育て世代が自分たちの住む太宰府市について、暮らしに関わる政治の話を楽しく知る場として団体を立ち上げました。2019年から団体名を「かたって、つないで」に変更。研修の企画など、語り合う場所作りを続けています。中心メンバー4人は、乳児や幼児の子育て中。

きっかけは、市長選挙。若い子育て世代の声をどこに?

共同代表の芳野さん(左)と、田熊さん(左から二人目)

 「太宰府市で暮らして、子どもも生まれて。折しも太宰府市長選挙があり、候補者の公約に目を通しました。すると教育や子育てといった、子育て世代に関係する内容があったのです」。と共同代表のひとりである芳野さん。公約に興味を持ち、候補者の講演会に足を運ぶと、自分と同じ子育て世代の女性は、後に共同代表となる田熊さんだけでした。このままでは政策に子育て世代の声は反映されないのではないかと、危機感を覚えたそうです。そこでふたりは意気投合し、子育て世代が語れる場を作りたいと考えました。

 しかし団体の立ち上げも初めてのことで、仲間作りの方法も分かりません。あすばるに相談したところ、「まずは元気塾を開催し、一緒に勉強していく中で仲間作りをするのも方法では」とアドバイスをもらい、太宰府市で元気塾を開くことになりました。

みんな、語りたい。場所さえあれば。

 若い世代の投票率を上げるには、若い世代の発言力を養うことが必要と考えて、元気塾では塾生が「考える」「気付く」「伝える」「行動する」力を付けることを主軸にプログラムを組みました。段階を追い、考え方やコミュニケーションのコツ、実際に行動を起こした人を講師に招いての体験談を聞いたり、塾生が気付いた地域の課題が似ている人でグループを作り、意見を整理したり、アイデアを出す方法を学びました。

 元気塾を始める前は、若い世代は地域の課題には無関心なのでは、と思っていましたが、塾生から様々な意見やアイデアが出てきたことに驚いたそうです。若い世代も思うことがそれぞれあり、ちょっとしたきっかけと話す場所さえあれば、語り合いたいんだと確信したそうです。

 そこで、2年目からは「かたって、つないで」と団体名を変更し、市の出前講座を利用した行政のしくみやまちづくりなどの勉強会、市長とのランチ会、特定政党を支持しない中立の立場での市議会議員や県議会議員との交流などを企画。子育て世代で同じ思いをしている人と出会いたいと活動を継続中。その努力が報われ、新規メンバーも加わりました。元気塾の元塾生も興味がある企画に参加してくれて、つながりが続いています。

これからも勉強して、伝えていきたい。

 床に車座になり、自分の子どもと一緒に市職員や議員から直接話を聞くうちに「遠い存在だった行政や議員への見方が変わった」と言います。 また、逆に行政や議員も市民の声や要望をもっと聞きたいと思っていたことも知りました。会員のひとりは勉強会で市の財政を学び、少しでも助けになればと、家から出るゴミを減らして、市のゴミ処分費用を安くしようという気持ちになったそうです。芳野さんは「知ることは暮らしを変える第一歩になる」と言います。これからも「かたって、つないで」の勉強会で知り得たことを、子育て世代や地域の人に伝えていきたい。そして、疑問に思ったことは勉強しながら「暮らしと政治はつながっていることを伝えていきたい」と意欲的です。 

 「大人が世の中の仕組みを知らないと、子どもたちに説明ができない。だからまず親である自分たちが身近な所から勉強しよう」と、将来を生きる子どものために、日々の暮らしに向き合いながらコツコツと活動を続けています。