ハッピーな女性農業者を増やし、農業を盛り上げる

向かって右端が代表の星野さん

Happy Farming~いいっちゃない福岡~

Happy Farming~いいちゃない福岡~」は、福岡県内の女性農業者が集まり、2018年に発足しました。現在は県内各地で農業に携わるメンバー18人で、行政や企業、一般の人までつながりを広げながら、明るく楽しく活動しています。

学び・販売・広報の3つを軸に、企業や学生とも連携

はぴふぁむ研修

「日本において、農業者の約56%は女性なんですよ。でも、女性はどちらかというと裏方で目立ちませんよね」、Happy Farming~いいちゃない福岡~(通称、はぴふぁむ)で第2期の代表を務めている星野純子さんは話します。

そんな女性たちを後押ししようと、農林水産省は2013年に「農業女子プロジェクト」を設立。女性農業者の存在感や意識を高め、就農する若手女性を増やすことを目指して、全国の女性農業者が参加しています。

 すでに「農業女子プロジェクト」に加入している人たちが中心となり、他県とは違う特色ある農業グループをつくろうという声があがり、2018年、全国で3番目に誕生したのが、福岡県のはぴふぁむです。グループ名の由来でもある「農業女性をHAPPYに」をモットーに、3年目の現在は20代から70代までの18人がそれぞれの強みを発揮して活動しています。

活動の軸は、設立当初から3つあります。学びの場を企画する「キラスキ」、販売をメインとする「マルシェ」、そして活動を周知するための「広報」です。「キラスキ」では、農業はもちろん、女性や人としての学びをテーマに、農家などへの視察、スマホで農作物を上手に撮影する方法、話し方など、実践的な研修を行っています。
「マルシェ」では、西鉄やパナソニックといった大手企業と連携したり、行政のイベントなどで農作物を販売したりしています。

はぴふぁむには活動的なメンバーが多く、偶然の出会いや紹介によって、どんどんご縁が広がっています。例えば食について学ぶ学生たちと出会い、彼らに企業との会議やイベントなど参加してもらってリアルな学びを提供しながら、活動をサポートしてもらっています。

また、農水省の管轄にある九州農政局にも、会の運営や手続きについて相談するなど、行政や学生ともいい関係を築いています。

学生さんと学び会
ドローン研修

オンラインを活用して、無理なく楽しく活動する

会の立ち上げにあたり手作りの旗を作成

 この1年、はぴふぁむには企業や一般の方からの問い合わせが増えたそうです。「企業とのコラボは今までも行っていましたが、コロナ禍における新たな動きを模索する企業からの声掛けも増えました。またコロナによって、おそらく時間ができたのでしょう。家庭菜園を始めたり農業に興味を持ったりした方から連絡いただくことが多くなりました。『一緒に活動したい』『農作業について教えてほしい』などとおっしゃる個人向けに、昨年末サポーター制度を作りました」と星野さん。「広報」の活動やメンバーの積極性が功を奏して、つながりがどんどん広がっています。

 メンバーは県内各地に散らばっていて、日々の農作業や家のこと、地域の活動などで忙しく、一堂に会するのはなかなか難しい状況です。そこではぴふぁむでは、3年前の設立当初からオンラインを駆使しているそうです。今でこそコロナの影響でオンラインが一気に普及しましたが、3年前は先進的だったといえます。

あくまでも仕事や生活を第一に、無理せず楽しく続けていくことが大切。だからサブのグループ名は『いいっちゃない福岡』で、自由に柔軟にできる範囲でやっていこうという思いを込めています。私たちが楽しく活動することで、まわりの方が関心を持ってくださるし、あとに続く女性が増えていくと信じています」と明るく語る星野さん。

素敵な消費者がいる福岡で、農業に関わる人も幸せに

星野さんは島根出身で、農家の夫との結婚を機に福岡で農業に関わるようになりました。外から来たからこそ、見えることがあるといいます。「農業の傍ら、博多の飲食店に野菜を届けているのですが、福岡の方たちは食に対するこだわりや好奇心、生産者への感謝の気持ちがものすごく強い。そんな素敵な消費者の方々に接して、農業って素晴らしい仕事だなと実感していますし、いい農作物を作っていくことが私たちの使命だと考えています。はぴふぁむは今の明るく楽しい雰囲気を保ちつつ、時代の変化に対応しながら活動を続けて、福岡の農業を盛り上げていきます。」と抱負を語ってくれました。