行橋市で男女共同参画を実現するため若い世代も参加
行橋男女共同参画ネット
行橋男女共同参画ネットは、1997年に20団体と個人5人が集まって結成された団体です。現在は、1団体と30人の個人会員で構成されています。
男女共同参画のまちづくりや幅広い年代への啓発と意識の定着を目指して活発に活動し、近年は若い世代の会員も増えています。
市の女性政策のために女性団体が集まって発足
「行橋男女共同参画ネットが誕生したきっかけは、行政の働きかけでした」と同団体前会長の高橋早苗さんは振り返ります。行橋市は「行橋市男女共同参画プラン」の策定に向けて、女性の声を集めるため、市内の女性団体などに声をかけて96年9月に「ゆくはし女性会議」が発会しました。実行委員会形式で映画の自主上映会を開催し資金を集め、翌97年に会則を整備して「行橋女性会議」(2004年「行橋男女共同参画ネット」に名称変更)を設立しました。
設立当初から「あすばる出前講座in行橋」や副館長(当時)を招いての学習会を開催するなど「あすばる」と連携してきました。また、日本女性会議や中国・四国・九州地区男女共同参画推進会議など市外の女性団体の組織や会議にも積極的に参加するほか、自主勉強会も盛んに行って学びを深めていきました。
1999年からは毎年「ゆくはし女性フェスティバル」(現「行橋男女共同参画フェスティバル」)を開催。市長を囲むパネルディスカッションのほか、アナウンサーや落語家、大学教授などの講演、映画の上映などバラエティ豊かな企画で、毎年多くの来場者を集めています。また、アメリカの舞台芸術監督にして日本国憲法の制定にも関わったフェミニスト、ベアテ・シロタ・ゴードン女史を招いて講演会を開催したこともあります。
さざざまな活動を展開。女性議員の誕生も後押ししたい
同団体では、地域の環境問題やエンパワーメントに関する取り組みなどさまざまな活動を展開しています。例えば、「サンタクリーン作戦」と称して、2016年から毎年12月にサンタクロースの衣装を身につけ、駅前のゴミ拾いを行っています。会長の馬籠光子さんは「最近は子どもたちや市内の日本語学校の生徒さんたちも参加してくれます。海外出身の方からは『日本はまちがきれいだ』と喜ばれていますよ」と笑顔で話します。行橋市役所との関係も良好で、お互いに相談できる協力体制が整っています。
事務局の熊谷則子さんによると、行橋市は、県議会議員選挙の一人区において、日本で初めて女性が議席を獲得(1991年)した地なのだそう。このことはメンバーにとって誇りであり活動への励みにもなっているようです。
コロナ過でなかなか活動ができなかった時期もありましたが、「『あすばる』の交流会をはじめ、他団体との集まりや行事に参加することで元気づけられ、小さな一歩でも前に進もうと思えました。やはり地方議会から女性議員を育てていくことが大切だと実感しています」と高橋さんは力を込めます。
若い世代の会員と共に活動をアップデートしていく
行橋男女共同参画ネットは、2026年に設立から30年を迎えます。「当時は若かった私たちも年を重ね、最近は新たに若い人たちが8人会員になってくれて、活気づいています。定例会でも年齢に関係なくみんなが自由に発言しています。若い人たちがやりたいことや意見をたくさん出してくれるので、来年度からどんどん取り入れていくつもりです。SNSも活用していきたいです」と熊谷さん。
若い人が参加するようになったきっかけは、まちづくりのワークショップでたまたま同じグループになった女性に声をかけたからとのこと。起業したいという男性も新たに参加しています。「若い世代がいなくて困っている団体は多いのですが、何か活動したいと思っている若者は結構いるのかもしれません。SNSなどで存在を知ってもらい、直接声をかけてみてはいかがでしょうか」と馬籠さん。「私たちも改めて若い人たちと一緒に勉強しながら、活動していきたいです」と高橋さんは意気込みを語りました。(取材/2024年3月)