農業委員会の女性委員を増やし、活躍を支援
福岡県農業委員会女性ネットワーク
「福岡県農業委員会女性ネットワーク」は、県内の農業委員会の女性委員が集まって、1999年に設立されました。女性委員の増加や資質の向上、情報交換をはじめ、県内60市町村で“女性委員ゼロ”をなくすことを目標として活動しています。県内各地に118人の会員がいます。
男女共同参画基本法を受け、市町村の枠を超えた団体を設立
農業委員会は、全国の市町村に設置されている行政委員会で、農地を守り、地域の農業を支える役割を担っています。戦後の農地改革をきっかけに生まれ、農地法に基づく権利移動の許可、農地転用案件への意見具申など、農地に関する事務を執行しています。
福岡県農業委員会女性ネットワークの会長を務める吉武順子さんは、団体設立の経緯について、1999年に男女共同参画社会基本法が施行されたことが背景にあると話します。「男女共同参画社会基本法が施行された当時、福岡県内の農業委員会には女性委員が4人しかいませんでした。農業の世界はもともと男性中心で、委員は当たり前のように男性で回されていて、女性が候補に挙がることすらほとんどない状況でした。公的な組織なのに女性委員が極端に少ないことは大きな問題で、もっと女性委員を増やして女性の声を反映させることを目的に、ネットワークが立ち上がりました」
少数の女性委員が置かれた立場を理解し、男女の委員に助言
吉武さんは宗像市出身で、会社員を経て、2010年に実家で就農。2016年から宗像市農業委員会の農業委員を務め、2025年には会長に就任しました。自身の経験から、女性が委員を務めることの難しさを実感しています。「まず、委員会では農地転用や都市計画など法律が絡む専門的な内容について協議することが多く、ベースの知識がなければ理解できません。また、女性は珍しいのでどうしても注目されて、発言するのをためらってしまうかもしれません。話さないと『何のためにいるのか』と思われ、だからといって話過ぎると『出しゃばっている』と言われて大変ですよね…。私は女性委員に『とにかくご自分の意見を言うことが使命ですよ』、男性委員には『女性だからといって特別なことをするわけではなく、男性委員と同じです。過度な期待をしないでください』とお伝えしています」
研修会・シンポジウム・登用の要請と多方面からアプローチ
福岡県農業委員会女性ネットワークでは、女性委員のスキルと意識の向上を目指して、研修会やセミナーを積極的に実施しています。例えば、農業に関する法律についての勉強会や、誰でも意見を出しやすいファシリテーションの手法を取り入れた研修会を行いました。「研修やセミナーの後には、雑談の時間を取るようにしています。抱えている悩みや疑問を出し合い、みんなで思いや情報共有することも大事だと思っています」と吉武さん。
また、毎年開催している「女性委員登用推進シンポジウム」では、女性登用への理解者や支援者が増えるように、男性にも興味を持ってもらえるテーマ設定を意識しています。そして、3年に1度、農業委員の改選が行われるタイミングで市町村を訪問し、首長や農業委員会会長などに女性委員の登用を要請することも、同団体の重要な活動です。
このような地道な活動を続けた結果、1999年には4人だった県内の女性委員が、現在は135人になりました。2024年度の農業委員に占める女性の割合は、福岡県は15.5%で、全国平均の14.4%を上回っています。とはいえ、「農業委員に占める女性の割合を3割にする」という国の目標にはほど遠い状況です。
「福岡県内60市町村のうち、4市町にはまだ女性委員がひとりもいません。女性委員ゼロの市町村をなくし、さらに県内各地で女性委員が活躍できるように、これからも現場の声に耳を傾けながら活動していきます」と、吉武さんはパワフルに意気込みを語りました。

