大牟田の未来について、若い世代が楽しく対話する
おおむたミライ会議
おおむたミライ会議は、大牟田市に関わる若い世代が未来について「対話のできるプラットフォーム」づくりを目指す団体です。2021年に立ち上がり、現在は10代から30代のメンバー15人が中心となって、さまざまな独自の活動を展開しています。
元気塾からスタートし、20代30代が代表を引き継ぐ
大牟田市はかつて石炭で栄えたまちで、古きよきものがたくさんある一方、女性や若者の声が反映される場が少ないという実情がありました。また高齢化が進み、人口が減少していく中、同市に住む女性2人が2021年3月に「おおむたミライ会議」を立ち上げました。共同代表は、当時会社員で現・大牟田市議会議員の櫻井ちはるさんと、地域活性化の活動に取り組む田中久仁子さんです。「若い世代が学び合う仲間に出会い、行動できる人材が育ち、さまざまな団体と連携して、大牟田の明るい未来について対話のできるプラットフォームを作ることを目的としています」と現代表の有馬辰紀さんは話します。
初年度は、あすばるが主催する「女性による元気な地域づくり応援講座事業(通称:元気塾)」に応募。実行委員にはPTA活動経験者や経営者、公務員、学生まで多様なメンバーがそろいました。「おおむた♡ミライ会議~つながりのチカラ~」というテーマのもと、30代を中心に28人の塾生が集まり、オンライン形式で4回の講座を開催。60人以上が参加した会もあり、大いに盛り上がったといいます。
続く2022年度は、元気塾の実行委員だった20歳の学生・沖哲治さんが2代目の代表に就任。メインの事業となる「U35ぼくらの時代」では、対話型イベントを3回開催して、大牟田の未来の夢やビジョンをワイワイと語り合いました。そこに登壇者として参加した有馬さんは「一緒に登壇した映画監督の瀬木さんをはじめ、皆さんの視点が新鮮で、大牟田の魅力をたくさん知ることができました。どんな意見も否定されることなく対話できる環境も素晴らしかった」と振り返ります。これを機に団体の代表を打診された有馬さんは、2023年度に3代目代表となりました。
地域コミュニティや観光をテーマに独自の企画を実施
2023年度は市の補助金を活用して、いろいろな企画を実行しました。例えば、入社1年目で社長業を任せられた若者の話を聞いて、なりたい自分を考えるイベント「入社したら、突然、社長になった」を大牟田駅西口広場で開催。「当日、駅から出てきた学生たちに声をかけて参加してもらいました」と有馬さん。誰でも気軽に参加できる雰囲気を大切にしているそうです。
また、「もしも大牟田から夜の灯りが消えたなら」と題して、まちの安心安全を守る防犯灯・街灯に注目した夜のまち歩きイベントを実施。「大牟田市では年々自治会への加入が減り、運営が難しくなっています。地域コミュニティによって設置・運営されている防犯灯を題材として、改めて地域コミュニティの重要性やまちの安全について考える機会を作りました」と有馬さんは意図を明かします。
さらに「観光大国大牟田への道」と名付けた企画では、初回に全員で大牟田のいいところを出し合い、次にその観光プランに沿ってみんなで観光し、最終的には観光マップを作りました。「大牟田市外の人も参加してくれて、地元の人は気づいていなかった魅力を掘り起こし面白がってくれて、新たな発見がたくさんありました」と有馬さんは手応えを感じています。
対話を広めることで大牟田を盛り上げていきたい
鹿児島出身で、8年前に大牟田に移住してきた有馬さんは「大牟田の人は地元への愛着が強いけれど、若者は進学や就職で地元から出て行ってしまうことが残念です。親の世代から、外に出るのが当たり前と思っていることが一因のような気がしています。若い世代の人たちがもっとまちに意識を向け、自分たちで考え対話して、明るい未来を切り拓けるような活動をしていきたい」と話します。
今後の目標は、設立時に掲げていた「対話のできるプラットフォーム」を外に広げていくこと。「これまでの活動を通して、私たちは対話ができる仕組みを培うことができました。引き続き自分たちで対話の場を作りつつ、他の団体や企業にも対話を広めて、まちや企業を盛り上げていければと考えています」(取材/2024年7月)