多様なメンバーで活動し、HUG講座が好評
男女共同参画ネットワーク春日
1995年に設立された「男女共同参画ネットワーク春日」。行政と連携し、春日市内で活動を行う団体や個人とネットワークを構築しながら、「ひとりひとりが自分らしく輝ける」社会づくりのために活動しています。所属団体の「春日市生活学校」「翼の会春日」「新日本婦人の会」 「パワーアップ塾生活学校」に個人会員も加わります。個人会員の中に市議会議員や男性メンバーも多数いるのが特徴です。
4つの団体と個人会員が多彩な活動を展開
男女共同参画ネットワーク春日では、「避難所運営ゲームHUG」、春日市総合防災訓練、春日市議会議員との交流会、学習会、公開講座、視察研修、防災をテーマにしたフェスタなど、多彩な活動を展開しています。中でも今、力を入れているのが避難所運営ゲームHUGの出前講座です。静岡で開発されたHUGは、避難所運営を住民視点でシミュレーションするカードゲーム。避難所運営を任されたという設定の下、次々やってくる避難者の状況を考慮しながら、迅速かつ適切に対応する術を学びます。
元気塾で避難所運営をテーマに学び合った
きっかけは、あすばるが実施する「女性による元気な地域づくり応援講座事業」、通称・元気塾に平成28年度に応募し、「学校に避難者が殺到!その時あなたができること」という6回連続の講座を開いたことでした。「災害は日本各地で起こる可能性があり、災害時には女性の視点も大切ですが、実際の被災地では女性や子どもが後回しにされたり、性被害が発生したりと、男女共同参画とはいえない現状がありました。そこで、皆さんと一緒に私たちも避難所運営について学びたいと思ったんです」とメンバーは話します。元気塾ではPTA活動をしている女性などを対象として、コミュニケーションについて学び、福島と熊本から経験者を招いたパネルディスカッション、及びHUGを学ぶ講座は一般公開にしました。
「避難所運営ゲームHUG」講座を広げる
HUGの意義を実感したメンバーは、自分たちでHUGの出前講座を始めました。春日市はもちろん市外からのオファーも多く、小中学校をはじめPTA、自治会、子ども会、日本語を学ぶ外国人学生のクラスなど、これまで県内各地で、多数出前講座を行ってきました。
小学生から外国人、自治会役員など幅広い人たちを対象としているため、毎回相手に合わせて資料を修正し、進行や伝え方を工夫しています。また、全体で振り返る時間を取ることで、他の人の話を聞いて新たな視点に気付いてもらったり、HUGには正解がなく、グループで知恵を絞り合って出した答えがベストだと伝えたりすることも大切にしています。「中学生は伝え方がうまいと感心したり、学校長は学校の見取り図が頭に入っているので空間の使い方が上手だったり、女性だけでは被災者のことを考えすぎてスピードが遅くなることもあったりと、講座を運営する私たちにも毎回発見があり、とても勉強になります」。シニア男性の自治会長グループで取り組んだときは、「やっぱり女性がおらんと決められんね」という感想が出て、男女共同参画の重要性を理解してもらえたと実感したそうです。
いろいろな人が暮らしやすい春日を作る
HUG講座を始めて5年経つ2020年度をメドに、同会ではこれまでの活動内容と提案書をまとめる予定です。男女共同参画の視点はもちろん、子どもから学生、外国人まで多様な目線で避難所運営を考えてほしいという提言を盛り込むつもりだといいます。「これからもオファーがあれば、HUGの出前講座を続けていきます。興味があれば、お問い合わせください。他の活動と合わせて、いろいろな人たちが暮らしやすい春日、そして福岡を一緒に作っていきましょう」と呼びかけています。
(取材:2020年1月)
取材当日は、留学生対象に「避難所運営ゲームHUG」の研修講師をしていました。