”食“を通して地域を元気に

(写真は一枝市民センターで活動しているヘルスメイトさんです)

北九州市食生活改善推進員協議会 ヘルスメイト

1972年11月に発足。「私たちの健康は私たちの手で」をスローガンに、食を通したボランティア活動を行い、地域に根差した健康づくりを推進しています。2003年に福岡県の協議会から独立し、全国食生活改善推進員団体連絡協議会に加入。長年にわたる活動と成果が評価され、2004年には栄えある「保健文化賞」を受賞しました。幼児から高齢者までを対象に、昼食会や料理教室など多様なニーズに合わせた食育活動をしています。

幼児から高齢者まで食育を推進

会長の小畑さん

「ヘルスメイト北九州」は発足時から約50年にわたって、食を通した健康づくりに取り組んできました。現在のメンバーは約1300人。市内7行政区にそれぞれ協議会があり、メンバーは食生活改善推進員(愛称:ヘルスメイト)と呼ばれ、食育推進の担い手として活動しています。活動の幅は広く、「健康料理普及講習会」や「子育て支援のおやつ作り」を毎月開催するほか、世代別、男性向けの料理教室、生活習慣病予防の講座など、数多くの実績があります。

その中でも力を入れているのが、65歳以上を対象にした「ふれあい昼食交流会」。各校区の市民センターで、毎月1回行われています。他の地域の協議会でも高齢者向けの食事会を開いているところはありますが、毎月定期的に開催しているのは北九州だけ。独自の活動を地域ぐるみで続けてきたことが、全国的にも高く評価されています。

ふれあい昼食交流会

「ふれあい昼食交流会」は、1994年にスタートしました。それまでは、一人暮らしの高齢者宅にお弁当を届ける活動をしていたのですが、ある男性から「おいしいお弁当はうれしいんだけど、一人で食べるよりも話し相手がほしい」と言われたことを機に会食を検討。「みんなで一緒に食事を楽しむ会をしよう」と、1993年にモデル事業を立ち上げ、まずは市内12カ所の市民センターで実施しました。どの校区でも大好評で、翌年から市内100カ所以上の全市民センターで開催することになりました。

メニューは月替わり。各区の献立委員が2ヶ月に1度、小倉北区役所の調理室に集まって2ヶ月分のメニューを検討し、旬の食材を使った栄養バランスの良い献立を作ります。主食・主菜・副菜・汁物・デザートをそろえ、減塩にも注意しています。その後、レシピに基づいて各区で毎月試作会を行い、当日は市民センターの調理室にメンバーが集まって調理。検食は必ず毎回行うなど、衛生管理も徹底しています。

「みなさんが喜んで食べてくれることが、私たちのやりがいです」と、笑顔で話す会長の小畑さん。会の雰囲気は和やかで、おいしい食事を囲んでおしゃべりにも花が咲きます。市民センターが企画する催し物も同日に行われ、幼稚園児との交流会、音楽やダンス鑑賞などを楽しんでいます。

心も体も健やかに暮らすために 

ヘルスメイトが目指すのは、食を通した地域の健康づくり。会食をするだけではなく、当日のレシピや健康情報を印刷して配り、日頃の留意点なども伝えて高齢者の暮らしをサポートしています。2019年度は、北九州市が提唱する「健康寿命プラス2歳」を実現するために、減塩マイナス2gの目標を掲げ、さらにレシピに工夫を凝らします。

ヘルスメイトには、養成講座を受けた人なら誰でも入会ができます。全国各地に協議会があるため、転居先で活動に参加することも可能。「ヘルスメイトの楽しさは、やっぱり仲間づくりですね。たくさんの方に参加していただけるとうれしいです」。活動を通して食生活の知識が身につき、自分自身や家族の健康に役立つことも魅力です。

「今後もふれあい昼食交流会を長く続け、元気なまちづくりにつなげていきたい」と話す皆さん。食を通しておいしい笑顔の輪を広げ、明るく健やかな地域を育んでいきます。

(取材:2020年2月)