国連第4回世界女性会議で採択された北京行動綱領の実現を目指す
北京JACふくおか
1995年に北京で開催された「国連第4回世界女性会議」において採択された「北京行動綱領」の実現を目指して発足した、全国ネットワークのNGO「北京JAC」。その中で、福岡都市圏の会員を中心に1999年に発足したのが「北京JACふくおか」です。現在は会員116人で、「“平等の文化”を創る」を合言葉に、地域においてジェンダー平等を広げるために、さまざまな活動を行っています。
国連世界女性会議への参加をきっかけに発足
1995年、「国連第4回世界女性会議(北京会議)」がアジアで初めて北京で開かれ、世界から約5万人が参加しました。北京会議では、女性の人権を包括する国際文書、性差別撤廃の国際指針として北京宣言及び行動綱領が採択されました。政府間会議とは別にNGOフォーラムでワークショップなどが開催され世界中の女性が交流する場となりました。日本でも北京会議に向け多くのNGOが関わり、北京JACは、そのメンバーが中心となって女性たちの声を国内政策に反映させたいと設立された全国ネットワークです。北京会議は政府とNGOとのパートナーシップを築くきっかけとなりました。福岡では、女性のエンパワーメントとネットワークを目的に、福岡都市圏の女性たちに呼びかけ、翌年ニューヨークで開かれる「女性2000年会議」にNGOとして参加しようと会を発足しました。」と代表の石原豊子さんは設立の経緯を説明します。
1999年に行った北京JACふくおかの設立総会には、福岡県と佐賀県、福岡市、大野城市、北九州市の女性センターの館長や所長がそろいました。そして、翌年の「女性2000年会議」では、ニューヨーク市立大学を会場にしたNGOフォーラムにおいて、女性の政治参画をテーマに掲げたワークショップを開催し、成功をおさめました。
多様な学びの場を設けて、福岡市の条例づくりにも貢献
「私たちは、国内法制度や海外のジェンダー平等政策、女性の権利の国際基準などを学びながら、常に国や県・市の男女共同参画政策と向き合ってきました。基本計画制定時にはパブリックコメントに意見を出して、計画ができたら出前講座で学習し、行政と意見交換を行ってきました。」と話すのは事務局の丹生秀子さん。
また、福岡市が2004年に「福岡市男女共同参画を推進する条例」を作る際には、メンバーが審議会委員として参加したほか、他の団体と連携して要望を出したり、みんなが望む条例になるように意欲的に活動しました。
2001年から「北京行動綱領(12の問題領域)は福岡でどこまで実現できているか」をテーマに、「女性と貧困」「女性と教育」「女性に対する暴力」「女性とメディア」など福岡で活動をしている女性団体や個人を講師に連続講座を開催し、その成果を「北京+10 ふくおかNGOレポート」として冊子にまとめました。
さらに、団体設立から10周年以降は「歴史を学ぶ 先輩からのバトン」として、地元で活躍してきた先輩たちを招き、毎年講演会を開催してきました。福岡女子大学名誉教授の秋枝蕭子さんや作家森崎和江さん、九州の女性弁護士第1号の湯川久子さんなど、錚々たる顔ぶれの先輩方による話はとても貴重で勇気づけられたといいます。
ネットワークを広げてジェンダー平等を実現したい
設立から24年経ち、年3回発行しているニュースレターは60号を越えました。次世代への働きかけとして、ここ数年は女子大学で学生に自分たちの活動を伝えることにも力を入れています。「学生さんにとって私たちの話は新鮮なようで、とても反応がいいんですよ。それまで選挙に行っていなかった人が選挙に行こうと思うという感想をくれたりして、やりがいがあります」と丹生さん。
今後の活動について、世話人の時永裕子さんは「ジェンダー統計を活用して、地域の男女共同参画を推進したい。若い人や女性がもっと政治に参画したり、代表やリーダーとして活躍したりできるようにサポートしつつ、議会への働き掛けも進めていくつもりです。いろいろな力を持って活動しているたくさんのグループと力を合わせて、ジェンダー平等を実現していきたいです」と語りました。
(取材2023年/3月)