被災経験から「男女共同参画×防災」を伝える

(特非)住みよいあさくらをめざす風おこしの会

朝倉市、筑前町、東峰村という3市町村のメンバーで活動している「特定非営利活動法人 住みよいあさくらをめざす風おこしの会」(以下、風おこしの会)。

 1991年に「生涯学習をすすめる甘木朝倉女性会議」として発足し、2002年には第1回福岡県男女共同参画賞を受賞。 

 2012年「住みよいあさくらをめざす風おこしの会」に名称を変更して、翌年、法人格を取得しました。現在60人ほどの会員の中には男性もいます。

30年近い活動の中、行政とも連携して活動

 風おこしの会は発足から30年を迎えます。家庭や職場、自治組織、政策の場など、あらゆる領域で「男女共同参画」を基軸に活動を展開。必要に応じて行政と協働で地域の生活課題を解決するための活動や学習に関する事業を行い、住みよい地域づくりに寄与することを目的としています。

 2000年には国連特別総会「女性2000年会議」(ニューヨーク)に参加したり、文部省や市の事業を受託したりするなど、広い視野と高い意識を持って学びながら、地域に根差した活動を続けてきました。 

 2012~2013年には男女共同参画の地域づくりをテーマに「朝倉市提案公募型共同事業」を受託。「市内全域17のコミュニティで出前講座を行ったところ、地域ごとの実情がよく分かり、行政との関係づくりもできました」と振り返ります。

男女共同参画の視点を生かした地域の再生

 現在の主な活動は5つあります。年1回の「風おこしフォーラム」の開催、地域コミュニティや企業、団体への出前講座、情報誌「みんなの目・芽・めっ」による情報提供、研修会の開催、視察交流会です。中でも、最近メインのテーマにしているのが「防災と復興」です。

 2017年7月、九州北部豪雨によって朝倉市、東峰村 は未曾有の災害に見舞われました。メンバーの12名も被災しました。

 発災当時、メンバーの数人は会合で自宅地域を離れていたが帰宅できなくなり家族や知人と連絡を取り合い、「テレビで目にする惨状に呆然とした」と打ち明けます。避難所生活も始まり先が見えない中「何とかしなければ」の強い気持ちと危機感から「今こそ、男女共同参画の視点で地域づくりをしていかなければ。私たちがやりましょう」、そう決意した会のメンバーは、翌年2月「災害と男女共同参画」をテーマにフォーラムを開催しました。

被災地域だからこそ伝えられる防災の重要性

 2018年度には、あすばるが実施する「女性による元気な地域づくり応援講座事業」に応募して「あさくら元気塾」を開き、人材育成につなげようと「実践!命を守る防災力講座」と題した5回連続講座を実施しました。「豪雨から1年~朝倉の実情を知ろう~」をテーマに専門家から話を聞いたり、被災体験者の話から「今備えるべきこと」を考えたり、多様な視点から見た防災について学んだり、3階に避難してようやく助かることができたという避難所ともなった旧松末小学校でのアウトドア体験を通してサバイバル技術を身に付けたりと、多岐にわたる実践的な内容はとても好評でした。

 「被災した地域の私たちだからこそ、伝えられることがあります。出前講座も積極的にやっていますし、私たちが学んだことや経験したことを語り継ぎ、次につないでいきたい」。男女共同参画と防災の視点で、その名の通り、あさくらから風をおこしています。   

(取材:2020年2月)