誰もが楽しく安心して暮らせる地域を目指して
男女共同参画ネットワーク「二丈ひとの輪ネット」
2007年に設立された糸島市の「二丈ひとの輪ネット」。同じ地域で活動する人たちがつながり、学び交流しながら、地域の中で男女共同参画を推進することを目的として発足しました。現在はクイズ研修・劇・MANパワーの3つの部会があり、約40人のメンバーで防災をはじめ、さまざまな活動を展開しています。
地域で活動する女性がつながり、男女共同参画を広げる
二丈ひとの輪ネットは、2006年に二丈町※で実施された、あすばるの「男女共同参画地域づくり事業」がきっかけで生まれました。実行委員長だった谷口洋子さんは、講座の中で「あなたの地域に足りないものは?」と問われて、「男女共同参画が広がっていない」「活動する女性がつながっていない」と改めて認識したといいます。そこで翌2007年6月、会員36人で「二丈ひとの輪ネット」を立ち上げました。
設立から14年、これまで福岡県や福岡県金融広報委員会、糸島市などの後援を受けて、市長対談、ワールドカフェや、「お金と暮らし」「認知症」「DV」「防災」などをテーマとした講座を開いてきました。2016年度には、あすばるの「女性による元気な地域づくり応援講座事業(通称:元気塾)」に採択され、「いと元気塾 輝く女性が地域を元気に」を開講。また、福岡県内はもちろん、東京や熊本市、佐賀市、別府市など、各地に視察に出向いて、学びと交流を続けています。
※糸島郡二丈町は、隣接する前原市・糸島郡志摩町との合併により2010年から糸島市となりました。
クイズ研修・劇・MANパワーの3部会で活動
二丈ひとの輪ネットには、3つの部会があります。「クイズ研修部会」は、男女共同参画や防災などのテーマについて楽しく学んでもらうクイズを、研修会や文化祭などで行っています。「常に新しい情報をチェックしてクイズを考え、難易度の違う数パターンを用意して、参加者やテーマに合わせて内容を変えています。クイズ形式にすることで皆さんに関心を持ってもらい、解説までしっかり聞いてもらえますし、とても盛り上がるんですよ」と同部会長は話します。
「劇部会」は、オリジナルの寸劇を作って披露しています。「男女共同参画」をはじめ、「消費者保護」「認知症サポーター」「食育」をテーマに、これまでに14作品を上演してきました。
「MANパワー部会」は、男性の料理教室を中心に活動しています。「定年後の男性たちが集まり、一緒に楽しく料理をすることで、地域に仲間が増えています。糸島には移住してくる男性も多くなっていて、その方々が地域に溶け込むきっかけにもなっています」と部会長。同ネットの男性会員10人も、この部会で楽しんでいます。
近年は「防災」をメインテーマに多様な企画を展開
近年は、「防災」を主なテーマに掲げて活動しています。防災や災害復興には、男女共同参画の視点が欠かせないと考えているからです。2014年度には防災講演会を開き、東日本大震災で支援活動をした糸島市職員の講話や、避難所生活を想定したワークショップを行いました。その後も、2016年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本県益城町自治連合会の女性会長を招いて講演会を行ったり、被災した熊本や朝倉を訪ねたり、糸島市女性防火クラブに加入するなど、積極的に活動してきました。そして2019年度は「糸島市市民提案型まちづくり事業」の一環で、「みんなで防災」をテーマに講演会や避難所運営ゲーム、防災〇×クイズ、展示など多彩な活動を繰り広げ、報告書1000部を発行しました。さらに、2020年度は防災クロスロードを実施しました。糸島市では今年度初めて女性消防団員が4人誕生しました。同ネットでも今年度、糸島市の補助を受けて、1名が防災士の資格を取得しました。
谷口さんや副会長の宮崎さんたちは「メンバーはみんな前向きに楽しみながら活動しています。最近は、この地域の中で『女性が役員になってもらいたい』という声が聞かれるようになり、私たちの思いが少しずつでも浸透してきていると実感しています。これからもその時々に大切な話題をテーマにして、楽しく活動を続けていきます」と抱負を語ってくれました。(2020年11月取材)