仕事にも暮らしにも活かせる学びの場をつくる

築上女子学活会

築上町を拠点に起業している女性たちの団体です。現在のメンバーは7人。「仕事にも暮らしにも活かせる学びの場づくり」を目的に、2017年秋に活動をスタートしました。仕事を通して養った企画力や実行力をベースに、自分たちが主体的に学びながら、地域に役立つ情報を発信。さまざまな講座を開催するほか、空き家や行政管理の建物を再活用するリノベーションにも着目し、今年度は視察研修を企画しています。築上町男女共同参画ネットの団体会員として行政や他の組織と協力しながら、一人ひとりの個性や強みを活かして活動しています。

女性起業家が集まって活動をスタート

「このまちで起業している女性たちが集まれば、きっと何かできる」。そんな発想から生まれた「築上女子学活会」。あすばるの女性リーダー育成塾「ふくおか女性いきいき塾」を卒業したメンバーが、「みんなで一緒に話をしたい」と声をかけたことが発足のきっかけです。運動教室、エステ(or美容関係)、飲食業、ものづくり作家などさまざま分野で活躍している女性たちが集い、活動の方向性について話し合いを重ねました。

そのなかで浮かび上がったのは、「仕事にも暮らしにも役立つことを、楽しく学んでいきたい」という気持ち。そして、「もっと築上町をよくしていきたい。活性化していきたい」という地域への想いでした。起業家支援に限定するのではなく、自分たちが興味のあることを企画して、まちの人とも共有していく。勉強会というよりも、学んだことを活かし合うイメージで「学活会」と名付けました。

知りたいことを企画して発信する

 最初に企画したのは、「伝わる文章講座」です。仕事はもちろん、PTAや地域活動に関わるうえでも、何かを発信するときに必要になるのが文章力。

「地域活動を継続するためには、まずは自分たちが知りたいことを学ぼう」と、講師を招いて講座を行いました。次に開催したのが「キッズマネーセミナー」。子どもたちの夏休みの時期に合わせて、大人も一緒に学べるお金の講座を企画しました。「家族には健康に過ごしてもらいたい」という切実な願いから、健康な暮らしを支える講座も実施。洗剤や食べ物など、環境にも体にも良いものを選ぶ力を身につける「モノ選び講座」や、料理研究家による「夏を乗り切るドリンク講座」も開きました。

また、2019年7月から今年2月までは、プロのライターを育てる「ママライター講座」(築上町主催)の企画と運営に関わり、受講中のメンバーもいます。講座の際は、男女共同参画ネットの託児サポートを受けられ、小さな子どもがいるママたちも喜んで参加しています。

行政に声を届け、自ら動いて変えていく

  築上町の人口は約1万7千人。規模が小さいことは、施設や講座が少ない反面、行政との距離が近いメリットがあります。町長や議員と直接会って話す機会もあり、「3人目の保育料を無料にしてほしい」という要望を伝えたときは、すぐに実現してもらえました。

「企業誘致のような施策も大事ですが、生活に密着した小さな積み重ねを大切にして、まちを元気にしていきたいですね」と話す皆さん。現在は、古い施設を再生し、図書館や子どもが遊べる施設をつくる提案をしています。今年3月には、リノベーションの視察研修で田川市を訪ねるなど、新しい活動も進行中です。

メンバーの出身地はさまざまですが、「子どもたちが育っていくところだから、もっと暮らしやすいまちにしていきたい」という気持ちは同じ。「そのためには、自分たちで行動して、変えていくしかない」と声をそろえます。「築上町っていいよね、ってみんなが思えるように、私たちにできることをやっていきたいです」と、笑顔で話してくれました。

(取材:2020年1月)