ジェンダー平等に向けて、世界と地域の両軸で活動

日本BPW北九州クラブ

 「日本BPW北九州クラブ」は、日本BPW連合会に所属する13のクラブやアソシエーツのひとつとして、1988年に発足しました。

北九州市を中心に、ジェンダー平等社会の実現や働く女性の地位向上などを目指して、海外や全国の仲間と連帯し、さまざまな活動を展開しています。

 

働く女性の国際的なネットワークに所属

BPWとは「Business and Professional Women」の略です。BPWの歴史は古く、1951年に東京在住の働く女性が中心となって誕生した「東京有職婦人クラブ」が、全国連合会へと拡大した後、働く女性のための国際組織BPW Internationalに加盟し、現在は「認定NPO法人日本BPW連合会」として活動しています。

男女の賃金格差を示す「イコール・ペイ・デイ」

BPWでは、ジェンダー平等や働く女性の地位向上などを実現するため、多様な活動を行っています。中でも特に力を入れているのは、男女の賃金格差を見える化する「イコール・ペイ・デイ」キャンペーンです。これは、男性が1月1日から12月31日まで1年間働いて稼ぐのと同じ賃金を、女性が稼ぐためには翌年の何月何日まで働かなければいけないかを、国別に毎年算出するものです。その日をイコール・ペイ・デイ(同一賃金を手にする日)として、世界で格差解消を訴えるキャンペーンを展開しています。日本では、これまで翌年の5月以降になっていましたが、今年のイコール・ペイ・デイは2023年4月28日となり少しだけ縮まりました。それでも日本の賃金格差は、OECD加盟国の中でワースト2です。

「海外のイコール・ペイ・デイは1月や2月が多く、日本も少しでも早く追いつきたいものです。ただ、注意してほしいのは、これは男女の正規労働者だけの賃金データを比較したものということ。日本では非正規雇用の女性が7割にのぼるため、実際の格差はもっと深刻なのです」と、会長の徳永康子さんは指摘します。

政府から自治体、学生、市民まで幅広くアピール

北九州クラブでは、「イコール・ペイ・デイ」キャンペーンの他にも、独自に多くの活動を展開しています。例えば、国内の各クラブが持ち回りで開催する年1回の全国大会・総会に参加しています。2016年には北九州市で開催し、インターナショナルの会長たちも海外から来られました。2019年には西日本ブロック研究会も開催しました。

後に続く若い女性の支援や意識啓発にも積極的で、日本BPW連合会が行うCSW(国連女性の地位向上委員会)インターン派遣事業に、北九州大学の女子学生を派遣。また、毎年複数の大学で北九州市の男女共同参画に関する広報啓発事業を受諾し、ジェンダー平等意識の向上に向けた啓発事業を実施しています。 

さらに、台湾のBPW台中クラブと交流を続けており、2022年には台中クラブのメンバーが北九州市を訪問しました。「地元のESG企業を見学したい」という先方の希望に応じて、シャボン玉石けん株式会社など3社を回り、学びと親睦を深めました。ほかにも、「あすばる」や北九州市の「ムーブ」が主催するイベントに参画したり、北九州市内の他の女性団体と連携してイベントを企画したりしています。※「サスティナビリティ(持続可能性)に通ずる「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(統治)」に取り組む企業 

行政と長年にわたって信頼関係を築いているのも、北九州クラブの特長です。北九州市から男女共同参画に関する広報啓発事業を受託したり、「イコール・ペイ・デイ」キャンペーンにあたっては毎年市役所や商工会議所を訪問して幹部との意見交換をしたりしています。また、BPW台中クラブとの交流の際は市が積極的に関わってくれたそうです。

現在、北九州クラブには会員19人とサポート会員24人のメンバーがいます。「日本BPW連合会や北九州クラブとして、実際の政策に働きかけることが私たちの重要な役割だと認識しています。これから市の第5次男女共同参画基本計画策定に向けてコメントを出したり、新市長へ提言を行ったりする予定です。そして、北九州をはじめ各地でジェンダー平等の啓発をしている女性団体との連携を強化することで、ジェンダー平等への歩みをより一層力強く進めていきたいです」と今後の抱負を語ってくれました。(2023年/3月取材)