まちの特産品でスイーツをプロデュース

imojoプロジェクト

 苅田町に暮らす女性たちが、特産品のサツマイモを使った新商品を開発し、地域づくりに取り組むプロジェクトです。子育て中のママたちの団体「つむぐ。」が実行委員となり、2017年度のあすばる事業、「苅田町元気塾」の中で、「imojoプロジェクト」が始動しました。その後、女性たちのアイデアをもとに、地元の菓子店の協力を得て、ふるさと納税返礼品にも使われる紫芋スイーツが生まれました。現在は子育て中の女性たちが協力しながら、販促活動に取り組んでいます。

子育て中のママたちを結ぶ「つむぐ。」

 苅田町元気塾の「imojo(いも女)プロジェクト」の実行委員を務めた「つむぐ。」は、他の地域から苅田町に移り住んだママ友達5人が2015年に立ち上げました。実行委員長は、あすばるの事業「福岡女性いきいき塾」の卒業生。保育士の仕事を通してさまざまな育児相談を受け、ママたちの役に立ちたいと思ったことが参加のきっかけでした。

苅田町は転勤族が多いこともあり、一人で育児の悩みを抱えたり、仕事との両立に悩んだり、再就職に不安を持っている女性がたくさんいます。いきいき塾で学んだことを生かし、「子育て中の女性たちが孤立せず、出会う場になれば」と「つむぐ。」を結成。看護師、美容師の資格や、洋裁などの特技を持っている女性たちがつながり、アロマ講座やファッションショーなどのイベントを開催するようになりました。

「何かしたくてうずうずしているママたちが多いんです。ファッションショーは企画・製作・出演すべてをママたちが行い、すごく盛り上がりました。私たちにできることを表現できたイベントだったと思います」。

imojoプロジェクトで地域を元気に

 こうした活動で培った人脈と経験が、地域づくりにつながったのが、「imojo(いも女)プロジェクト」です。2017年に「苅田町元気塾」を開催し、公募で20~50代の女性27人が集まり、半年にわたって講座を開催。講師を招いて地域ブランディングやPRなどについて学び、苅田町産のサツマイモ「紅はるか」を使った商品づくりに挑戦する第1弾プロジェクトがスタートしました。地元の菓子店の協力を得てオリジナルクッキーをつくり、地域イベントで販売しました。

 翌年、苅田町が特産品をPRする企画を依頼し、第2弾のimojoプロジェクトが始まりました。第1弾の活動で得た知識や経験をもとに、本格的な商品化に取り組みました。メンバーは仕事や育児の合間を縫って検討を重ね、ネーミング、パッケージなどを考案。試作と試食を繰り返し、半年後に苅田町産の紫芋を使ったスイーツ2品が2019年に完成しました。紫芋の自然な甘さを生かし、爽やかなレモンの風味をきかせた自信作です。スティック状のタルト「いいもん」は、苅田町のふるさと納税返礼品としても親しまれています。

一人ひとりが輝く活動であるために

 「imojoプロジェクト」発の商品は、地元の菓子店で常時販売するほか、メンバーが不定期で公共施設や役場に出店し、地域行事やスポーツイベントでも販売しています。

 目下の課題は、育児や仕事と両立しながら地域活動を続けていくための仕組みづくり。プロジェクトに関わったメンバーは、仕事復帰や起業など新しい自分の道を歩き始めており、参加できる人数が減ってきました。主要メンバーも管理職を目指し、前向きに挑戦しようとしています。「町から求められることは大きくなるし、自分たちの仕事や家庭の状況も変化していきます。そのなかでモチベーションを保って楽しくやっていくためには、ちゃんと売上を出すことも大事」と話す皆さん。お金も時間も気持ちも潤いを保ち、健全に地域活動と関わっていくことが今後の目標です。「もともと「つむぐ。」を立ち上げたときは、子育て中の女性たちが、ママや妻という立場にとらわれず、もっと自分に自信を持って輝いてほしいという思いがありました。そういう意味では、目的は達成できたと思っています」。

 発足から4年目を迎えた「imojoプロジェクト」。次のステージに向けて、みんなが笑顔で活動できる方法を模索しながら進化していきます。

(取材:2020年2月)