みんなの「やってみたい」を応援する

ひろかわまちじょ

 「ひろかわまちじょ」は、あすばるの「女性による元気な地域づくり応援講座事業(通称:元気塾)」で、2017年度に広川町で開講した「ひろかわまちじょ あなたの“好き” を活かす 女性の明るい未来応援プロジェクト」の実行委員会から誕生しました。元気塾修了後も行政とうまく連携しながら、広川町のモノ・場所・人を活かして想いをカタチにする講座やワークショップを展開し、活動を続けています。

町の資源と好きなことを活かして活動

代表の恒松美里さん

 「ひろかわまちじょ」が誕生したきっかけは、代表を務める恒松美里さんが、2016年度の久留米市元気塾「マチをつくる。筑後姉妹。」に塾生として参加したことでした。「自分の町でも面白いことができたらいいな」と思い、「筑後姉妹。」や広川町の協力のもと、翌2017年度に実行委員会を立ち上げました。元気塾では「好き×マチ」をテーマに、全7回の連続講座を実施しました。

 「広川町は、久留米絣の工房が11あり、果物や花の生産も盛んなものづくりの町です。でも、子育て世代の女性の転出が多いという課題がありました。そこで、元気塾では『町にある資源と好きなことを活かして活動する女性を応援しよう』というコンセプトで、講座やフィールドワークなどを行いました。講座には意欲のある女性たちが集まってとても盛り上がり、いろんな活動やつながりが生まれました」と恒松さんは当時を振り返ります。

ものづくりとつながりを生む拠点が誕生

ものづくりの拠点「Kibiru」

 元気塾から生まれた団体が事業終了後も活動を継続するためには、行政との協働や活動拠点が鍵となります。2018年の春、広川町が地域の集会所を改装してミシンなどを備えたアトリエ「Kibiru」を開き、ものづくりやつながりを生む拠点にする構想がありました。恒松さんが元気塾修了後の活動について町に相談したところ、町は、恒松さんを「Kibiru」の運営スタッフとして採用し、「ひろかわまちじょ」の拠点として元気塾での取組みを継続できる環境を整えました。そして2018年度以降、「ひろかわまちじょ」は、地域の資源を活かして、前向きに活動したい方を応援する「ひろかわまちじょproject」を、町と協働で実施しています。

 2018年度は地元の花農家とつながり、身近で活躍する人たちと交流する全6回の企画を実施。2019年度にはKibiruで縫製技術を学んで1着の服を仕上げる「技術が身につくシャツ作り」講座を開き、修了後には地元の「ひろかわ藍彩市場」の協力を得て、受講生とKibiruのスタッフで久留米絣のドレープシャツを製作し、成果報告会という形で展示もしました。さらに、今年度も10月に「技術が身につくシャツ作り」講座を開催しました。

2020年度ひろかわまちじょproject「技術が身につくシャツ作り」講座の様子
裁断済みの生地から1枚のシャツを縫製しました

小さな町だからこそ、できることがある

 恒松さんは「私はずっとこの町に住んでいたのに、久留米絣や果物などが身近すぎて、地元の魅力に気付いていませんでした。でも、元気塾の実行委員になったことで地域にある素晴らしい産業のことを知ることができて、行政の方や町のいろいろな人たちとつながり、洋裁という自分の好きな分野を活かして地元で働けるようになりました。やりたいことをカタチにしたいという思いを持つこと、そして人とつながっていくことは大事だなと実感しています」と話します。恒松さんがKibiruにいることで、講座の受講生がやって来たり、何かやってみたいときに相談を持ち掛けられたりすることも増えてきたそうです。
 「広川町は小さな町だからこそ町役場と町民の距離が近く、町民のチャレンジを応援しようというあたたかい雰囲気があるので、ありがたいです。これからも広川町のモノや場所、人を活かした講座を続けることで、前向きに活動する人たちをサポートしながら、皆さんのつながりからさらに新たな展開が生まれるのを楽しみにしています」。

 地域のモノ・場所・人を活かし、つないできた「ひろかわまちじょ」。「ひろかわまちじょ」の活動拠点をつくり、地元の人たちの“やってみたい”を応援する「ひろかわまちじょproject」を協働で実施している広川町。元気塾で紡いだ縁は途切れることなく、着実に広がっています。(2020年10月取材)

Kibiru(室内)
「ひろかわ藍彩市場」での成果報告展示